パセリの備忘録 | シャーロック・ホームズと英国

パセリのふたりが参考にした資料のことや
おもしろかったこと、
ちょっとした事柄、
お知らせなどをつづっております。
マビノギオン 7

ヒリアンノンは王子に12か月後、宴を用意するのでヘヴァイズの王宮まで来てくれるよう願い、プウイヒル王子も行くことを約束。

ヒリアンノンは帰って行きます。

 

12か月後、王子は100人の騎士とともに老ヘヴァイズの王宮へ。

大歓迎の宴ではプウイヒル王子を真ん中に、ヒリアンノンと老ヘヴァイズが並んで主賓席。

夜になっての食後の大酒盛りにひとりの品の良い物腰の背の高い若者が入ってきて王子に挨拶。

ぜひとも叶えてもらいたいお願いがあってきたと言う若者。

上機嫌で、答える王子

『どんな願いでもできる限り聞き届けようぞ』

『その返事! なかったとは言わせないぞーっ!』

実は、その青年こそがヒリアンノンが嫁ぎたくないっと言ってた政略結婚の相手。

 強大な権力と富を持つクリドの息子、グワウル。

王子の花嫁になるヒリアンノンを、その場の宴のご馳走を含めていただきたい! という。

 

大勢の貴族達の前で恥をかかないためにもと、ヒリアンノンが王子に策を授けます。

 

王子はとりあえず、ヒリアンノンをその男に与える。

でもヒリアンノンが1年後に宴を用意するのでその時まで結婚は待つように仕向ける。

1年後ヒリアンノンが渡した『袋』を持ち、王子は貧しい男に変装してその宴会にやってくる。

その時、武装した騎士を100人近くの果樹園に隠しておく。

 

その『袋』とは、

どんなに中に物を入れても決していっぱいにならない袋。

 

宴会のご馳走をこの袋にいっぱいだけめぐんでくれと願い、いっぱいにならない袋が『いっぱいになったか?』と聞かれたタイミングで

『高貴な生まれのお金持ちが両足で詰め込みながら「たくさん入ったぞーー!」と言わなければいっぱいにならないんです』

そう言えと。

そうか、と足を突っ込んで「入ったぞー!」と言ったところで、袋の中にその男を詰め込んで口紐を結び、角笛で隠しておいた騎士たちを呼び王宮を制圧する。

 

そんな策。

 

1年後その通りになり、まんまと袋に詰められるグワウルさん。

詰められただけでなく、プウイヒル王子の騎士たちに足やら槍の柄やらで叩かれたり小突かれたり。

『何が入ってるんだろなぁ』

『穴熊だよ〜』

などと言われながら弄ばれる……。

ガシガシ小突かれているところにやってきた別の騎士が

『何のゲームをしてるんだい?』と聞くと

『穴熊袋詰めゲームだよw』との答え。

 

これが穴熊袋詰めゲームの起源である。

 

その後、武士の情けで、復讐をしないと契約させられて袋から出してもらい、怪我はしたけど無事に国に帰って行くグワウルでした。

災難。

 

 

 


 

穴熊袋詰めゲーム!

 

 "What game are you playing at thus?" "The game of Badger in the Bag," said they. And then was the game of Badger in the Bag first played.

http://sacred-texts.com/neu/celt/mab/mab20.htmより

 

人間が行う、ブラッド・ゲームのひとつだったみたいです。

ブラッド・ゲームとはアナグマいじめ、とか熊いじめとか。ヴィクトリア時代まで延々とつづいていた見せものです。ヴィクトリア時代のは犬をけしかけて戦わせるというタイプ。

でもこれは袋に詰めて、蹴る。

といえば、ぽん、と蹴りゃニャンと鳴く!

でも山寺の和尚さんは、どういう事情か鞠を蹴りたかったので猫を袋詰めしたわけで(猫にとっちゃえらい災難ですが)、猫を蹴りたいがために詰めていない。

アナグマを蹴るためだけに袋に詰めるのとは根っこのとこが違うと思った次第です。

 

いや、その袋よりもいっぱいにならない袋の方を気にしろ。

どんなアイテムなんだ。

 

| みんくとじんこ | カドフェル | 01:08 | - | - |
SUPER COMIC CITY26 参加します

近所の桜が満開ですが、雨。

月曜日が今年の一番の桜日和になるのかな。

 

さて、スパコミのスペース番号が送られてきました!

 

5月4日(木)

東1ホール キ-3a

しずんだパセリ

 

です。

 

新刊はありません!

既刊を持って参ります。

ぜひ立ち寄ってください、お待ちしております。

 

天気いいといいな〜

| みんくとじんこ | お知らせなど | 00:43 | - | - |
マビノギオン 6

この1週間で、めっきり春になってしまいました。

もう、ダウンコートは着ないよな!

 

つづきです。

 

プウイヒル王子のために開かれた祝宴のある日のこと。

最初の食事後、アルベルスの王宮の裏の丘(アルベルスのゴルセズ。ゴルセズは〈塚〉)へ家臣と散策。

 

廷臣曰く

『この丘には妙なくせがあります』

 

そのくせとは

てっぺんに座る人に

  • 必ず傷をつけるか殴打を与える
  • 不思議なものを見せる

の、どちらかをする。

 

 

殴られるのは別に怖いことないが、不思議なものが見たいと丘に登り座る王子。

 

そこに白馬に乗って遠くから現れたひとりの貴婦人。金色に輝く衣服。ゆっくりと近づいてくる。

 

誰もその貴婦人のことを知らないので、とにかくお迎えに行けと家来がひとり迎えに走るが、

そのレディは素通り。追いかける家来が走るのに合わせて早くなる馬に追いつけない。

徒歩では無理。

 

ということで、王宮の一番早い馬を連れて来て追いかけさせる。

廷臣が懸命に馬を走らせても、並足で前を行く貴婦人に追いつけない。馬が疲れて走れなくなり戻った廷臣は馬でも無理と報告。

なにやら不思議と言いながらも、宮廷に戻って普通にみんなと楽しく宴会する王子。

 

翌日、馬に乗る者を、若い兵士にして再チャレンジ。

同じように現れる貴婦人。でも追いつけない。

宮廷に戻ってみんなと楽しく宴会

 

さらに翌日。いよいよ王子が自らチャレンジ。

同じように現れる貴婦人。しばらく馬を走らせるが追いつけない。ので『止まってください』と呼びかけてみた。

『喜んでとまりましょう』

もっと早く声かけてくれたらよかったのに、という貴婦人。

 

顔を覆っていたかぶりものを上げて自分を見るその貴婦人の美しさに一目惚れ。

 

しかも、なにを求めて旅をしているのか? との答えが

『求めていたのは、あなたさまでした』

 

うれしくって、身の上を尋ねる王子。

 

貴婦人の名前は、ヒリアンノン。

老ヘヴァイズの娘。

家の命令で嫌な男に嫁がねばならない。

 

『けれどわたくし、どんな夫もいやなのです。あなたさまへの愛ゆえに、あなたさまのお断りを受けぬ限りは、どんな男のもとへもまいりませぬ。お返事がうかがいたくて、こうしてやってまいりました』

 

ズッキューーーーーン! \(◎◇◎)/

 

『誓っていう、これこそわたしの答え  世界のありとあらゆる女性の中から選ぶとしても、わたしはそなたをこそ選ぶぞ』

 


 

 

逆ナンっ! そして、いきなりの逆プロポーズ! 

しかも成功してるし。

 

それ以前に、

変なくせを持つ丘ってナニとか、

何が起こっても食事と宴会のことがコツコツと書かれていることとか、

老ヘヴァイズって誰? とか、

ヒリアンノンの現れ方って人じゃないんじゃね? とか、

いろいろありますが、

 

 

白馬の王子が現れるのを黙って待つって? ダメウーマン。

白馬は待つんじゃないの、自分が乗・る・の

 

なヒリアンノンのアグレッシブさが新鮮で、いいです。

 

 

 

 

引用は

ウェールズ中世英雄譚

マビノギオン

シャーロット・ゲスト著  北村太郎訳

王国社

より

 

 

| みんくとじんこ | カドフェル | 02:03 | - | - |
マビノギオン 5

領主・ハウガンの願いを聞いたプウイヒル王子は、きちんとアラウン王からの言いつけを守り

それを華麗に拒否。

ハウガンはこれで死が決定。

 

それによりハウガンの諸侯は、勝者である(中身はプウイヒル王子ですが)アラウン王に忠誠の宣誓をします。

 

こうして隣国を手中にした王子は、その勢いで次の日の昼までに他の国を二つも征服。

  (早っ。そして他にも国があったという事実……! どういう成り立ちなのか? アンヌヴィン)

 

それを土産に、1年前の約束どおりハウガンと再会。

 

お互いに首尾を喜び友情を確かめ合い、元の二人に戻り、互いの王国に帰って行きます。

 

 

 

 

1年ぶりに自分の宮廷に戻ったアラウン。

内心、懐かしがりながら楽しく嬉しく過ごしまして、久々の王妃様との夜。

アラウンに優しく扱われた王妃様、困惑。

 

困惑を不審に思ったアラウンが王妃に問いただします。

王妃の話す事実にアラウン王、感動!

『わしはなんと信義に厚い友人に恵まれたことか!』

 

 


 

 

 

ローマの神様たちをはじめ、いろんな古代の神様は、恋だの、愛だの、は欲に直結の素直な行動派。

そして中世の騎士も、恋愛なくしては何の人生? 的な面が有りっぽいと見受けるんですが。

 

大概の男が、いい女をものにしたい誘惑で話しを悪い方向に変えることが多いのですが、

逆をついて株を上げたプウイヒル王子でした。

 

 

『あなたは強いお方と友情を結ばれたのよ。だって、あの方、肉の誘惑に打ち勝って、あなたとの信義をお守りになったのですもの』

『わしが考えていたのは、まさにそのこと』

 

 

プウイヒル王子は1年前、他人の獲物の鹿を横から恥ずかしげもなく盗ろうとしたような人間だったんですよ〜〜〜。

計算高いのか? 

懲りて人が成長したのか? 

アラウンがちょろいのか?

 


 

 

プウイヒル王子の方も、帰った国が、自分の名の下に善政を敷かれていたことを知ります。

家臣たちにも、この1年の自分が、実はアラウンだったことを告白。

これからもこの善政を続けると確約。

 

こうしてプウイヒル王子とアラウン王の友情は緊密に。

お互いに素晴らしい贈り物をしたりされたりするようになります。

 

 

 

そして気になるのがこの後に、サラッと書かれていること。

 

王子はアンヌヴィンに1年いた実績があった。

さらにその勇気とすぐれた能力で、ふたつの王国をひとつに結びあわせもした。

ついには、『ディヴェドのプウイヒル王子』の名を失い『アンヌヴィンの元首プウイヒル』と呼ばれるようになる。

 

 


 

 

アンヌヴィンが君主制から元首制になっとる?

つまりディヴェド国はアンヌヴィン国に吸収合併されて、しかも元首がプウイヒルって。

 

元首? ということで、元の英訳を探してみました。

 

And by reason of his having dwelt that year in Annwvyn, and having ruled there so prosperously, and united the two kingdoms in one day by his valour and prowess, he lost the name of Pwyll Prince of Dyved, and was called Pwyll Chief of Annwvyn from that time forward.

《http://sacred-texts.com/neu/celt/mab/mab20.htmより》

 

Chief は、ラテン語の『頭』から来ているそうで、首長とか元首、とも訳すらしいです。

フランス語で元首は chef d’État

 

 

 

フランス語のChefと英語のChiefは同じようです。

大昔のお話ですから、今の概念の元首とは違うものですが、国の頭、国の首長であるのは確かかと。

 

ということで……アラウン王は、どうなっちゃったんでしょうか?

 

ここが気になるのですが、この続きに彼の名前は一切出てこないのでした。

 

 

引用は

ウェールズ中世英雄譚

マビノギオン

シャーロット・ゲスト著  北村太郎訳

王国社

より

 

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